愛犬コタローは今まで何度か血液検査を行ってきました。最初はフィラリアの血液検査でしたがその中で腎臓病が疑われる項目SDMAや尿素窒素(BUN)の数値が高く、その数値の改善を目指すための治療や投薬を行ってきましたが、その後の血液検査でSDMAや尿素窒素(BUN)以外にアミラーゼ(Amy)の数値が高くなってきました。アミラーゼの値が高値を示すと膵炎の疑いもあるとか
そもそもアミラーゼって何!
その数値が高くなることで膵臓に変化をもたらし膵炎を引き起こすこともあるとか?
愛犬コタローの例を参考に原因、病状、治療法、ならない為の普段からの対処法を見ていきます。
血液検査項目のアミラーゼって何!
『アミラーゼ』は膵臓から分泌される主な消化酵素の一つで、炭水化物を分解します。
その他には『リパーゼ』は脂質を『トリプシン』はたんぱく質を分解します。
正常な膵臓の働きは消化酵素を沢山作り出し、作られた消化酵素は膵管を通って十二指腸に流れ、食べたものを消化していきます。
このアミラーゼ(Amy)の数値が高くなると(参考基準値401~1395、この基準値は検査機関により多少の変動があるようです)膵炎(すいえん)の疑考えられ膵臓に炎症を引き起こすことがあります。(急性膵炎)
また、アミラーゼとセットで測定されるリパーゼ(Lip)があります。(参考基準値137~721、この基準値も検査機関により多少の変動があるようです)
膵炎には急性膵炎と慢性膵炎の二つがあります。
通常、消化酵素は膵臓自体を消化しないように分泌されていますが、急性膵炎の場合、膵臓から分泌される酵素の量が増え自らの膵臓や腸管までもを消化してしまい炎症を引き起こすと言われています。軽症の場合は自然に治っていくことも多くあるようですが、重症化すると合併症を起こし死亡の危険性もあるようです。
慢性膵炎は、少しずつ膵臓が硬くなっていき腹痛などが起こることがあります。慢性膵炎が進行していくと膵臓の機能が低下することで必要な消化酵素が十二指腸に流れにくくなり、消化が十分に出来なくなることもあるようです。
膵炎になりやすい環境、原因、犬種
( )内は愛犬コタロー
- 留守番などのストレス(一人での留守番が割と多い)
- 肥満(標準の体重を維持している7~7.5㎏)
- 白米を好きなだけ食べさせている(おやつ程度に食べさせている)
- 高脂肪の食べ物を日頃から与えている(低脂肪の食事)
- 好きなものは何でも食べさせている(食べさせていない)
- 人間の残飯を食べさせる(食べさせていない)
■犬種
- ミニチュアシュナウザー、ヨークシャーテリア(パピヨンとスプリンガースパニエルのミックス)
急性膵炎と慢性膵炎の症状を愛犬コタローと比較
■急性膵炎( )内はコタローの症状
- 嘔吐(腎臓病の疑いがあった時は頻繁にあったが現在は無い)
- 下痢(腎臓病の疑いがあった時は頻繁にあったが現在は無い)
- 震え(寒くもないのに時々ある)
- 食欲不振(突然食べなくなることがある)
- 衰弱(元気のない時が時々あるが現在は元気)
- 黄疸(なし)
- 脱水(腎臓病の疑いがあった時は時々あったが現在は無い)
■慢性膵炎
- 一般的な消化器系疾患と症状の見極めがつきにくい(嘔吐、下痢、腹痛、体重減少など)
コタローの場合も上記の内容と同様で判断が難しい。
愛犬コタローの血液検査の結果を振り返って見ると
2019.5.18
アミラーゼ(Amy)(参考基準値)が401~1395(測定値)は1105U/L【基準値内】
リパーゼ(Lip)(参考基準値)が137~721(測定値)は445U/L【基準値内】
2019.9.9
アミラーゼ(Amy)(参考基準値)が401~1395(測定値)は1046U/L【基準値内】
リパーゼ(Lip)(参考基準値)が137~721(測定値)は326U/L【基準値内】
2020.5.18
アミラーゼ(Amy)(参考基準値)が401~1395(測定値)は1595U/L【高】
リパーゼ(Lip)(参考基準値)が137~721(測定値)は300U/L【基準値内】
2020.7.6
アミラーゼ(Amy)(参考基準値)が401~1395(測定値)は1948U/L【高】
リパーゼ(Lip)(参考基準値)が137~721(測定値)は256U/L【基準値内】
2020.7.22
アミラーゼ(Amy)(参考基準値)が401~1395(測定値)は1385U/L【基準値内】
リパーゼ(Lip)(参考基準値)が137~721(測定値)は255U/L【基準値内】
2020.11.30
アミラーゼ(Amy)(参考基準値)が401~1395(測定値)は1743U/L【高】
リパーゼ(Lip)(参考基準値)が137~721(測定値)は259U/L【基準値内】
2021.3.28
アミラーゼ(Amy)(参考基準値)が401~1395(測定値)は2317U/L【高】
リパーゼ(Lip)(参考基準値)が137~721(測定値)は446U/L【基準値内】
膵炎の治療法
膵炎の特効薬はまだないため急性膵炎では早期発見、早期治療がとても大切です。下痢や嘔吐で脱水症状がある場合は点滴を行い水分を補います。また、膵臓を保護するために絶食、絶水が必要な場合もあります。
さらに症状に合わせた治療が基本となり、痛みが認められる場合には痛み止めを、下痢の場合には下痢止めを吐き気がある時は吐き気止めを使用します。
膵炎にならない為の対処策
ハッキリとした原因が分からない為、『これ』という対応策はないようですが、それでも極力リスクを避けるため適度な運動とバランスの良い食事を心がけていきましょう。特に肥満は大敵です。
高脂肪の食事は避け、すでに肥満の愛犬の場合にはダイェットすることをお勧めします。
一言でバランスの良い食事と言っても何がバランスが良いのか正直、私にもよく分かりませんが(下記6大栄養素をご覧ください)人間同様基本は新鮮な水分です。コタローには常に新鮮な水を与えています。
そのうえで、幼少期、成犬期、老犬期とそれぞれに見合った食事をしてもらうことがとても重要かと思います。
◆幼少期
身体作りの時期なので、そのためのたんぱく質、カルシウム、脂質やミネラルなどが大切な栄養素のようです。この時期用のドックフードはすべて必要な栄養素は含まれているのでドックフードで大丈夫のようです。仮に手作りを考える場合には専門的知識がないと難しいので、その道のプロに相談してみるのが良いかと思います。
◆成犬期
運動量、生活環境、犬種や年齢、個体差に合わせた食事内容と食事量を考え、人間同様犬にも欠かすことのできないのが6大栄養素です。その栄養素とは
1.たんぱく質
20種類のアミノ酸により構成されますが、そのうちの10種類は犬の体内では合成できないため食べ物から摂取しなければなりません。これを『必須アミノ酸』といい肉や魚などの動物性たんぱく質に含まれています。
2.炭水化物
炭水化物は穀類や芋類などに多く含まれ、糖質や食物繊維から構成されています。糖質はエネルギー源、食物繊維は腸内環境を整えるために必要な栄養素です。ただし、炭水化物は必要以上に摂取すると肥満や糖尿病を起こす危険性もあるようです。
3.脂質
過剰摂取には気を付けたい栄養素。エネルギー源としてだけではなく寒さから身を守るための、皮下脂肪や核膜の構成にも欠かせない栄養素なのです。そして愛犬に必要なビタミンA、D、E、Kといった脂溶性ビタミン吸収を促進する役割も担っています。
4.ミネラル
8種類ある中でどれ一つ欠けても、多すぎても、少なすぎても愛犬の身体に悪影響を及ぼす可能性があり、尚且つ体内では生成できないので食事から摂取するしかありません。
4-1(鉄分)ヘモグロビンの成分となり肺から酸素を運ぶ
4-2(カルシウム)骨や歯などを作る
4-3(リン)カルシウムの吸着を補助
4-4(マグネシウム)骨や歯の生成時に筋肉の収縮を助ける
4-5(ナトリウム)神経の伝達や筋肉の収縮
4-6(亜鉛)細胞の再生
4-7(カリウム)細胞内の浸透圧を一定に保つ
4-8(ヨウ酸)甲状腺ホルモンを構成
5.ビタミン
成長や代謝を調整する役割があるが犬の場合、多くは必要としない。ビタミンCは犬の体内で合成できるもののシニア犬の場合、合成できる量が不足する可能性があるため摂取が推奨されている。ただし過剰摂取には要注意。
6.水分
人間の体内と同様で犬の体内も60~70%が水分です。ですので新鮮な水分は欠かせません。犬の場合、代謝や物質の運搬、体温調整をします。
◆老犬期
愛犬コタローもそうですが段々と運動量が少なくなり睡眠時間が多くなってきます。
いま行っていることは食事の量を減らし低脂肪の食事に心がけています。一般的には衰えが見え始めた部分のケアで、お腹に現れる様々な症状や関節の痛みを補うことが考えられますが、コタローの場合腎臓病や膵臓にも問題抱えているので、血液監査の結果を見ながらかかり付けの獣医師さんに相談をし、対処していくことを考えています。
まとめ
- 膵炎には急性膵炎と慢性膵炎がある。
- 犬の膵炎の原因はまだはっきりとしたことは分かっていない。
- 一度膵炎になると再発しやすくなる。
- 膵炎に限らず血液検査はとても大切。
- 愛犬を膵炎から守るためにも適度な運動とバランスの良い食事はとても大切。
- 愛犬の肥満には気お付けましょう。
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