とっても可愛い愛犬たちですが、この愛犬たちにもすごく優れた能力があります。我々人間にも利き手があるのと同様に、ワンちゃんたちにも利き手があります。
そこで今回は愛犬の利き手の調べ方と、左右どちらの割合が多いのか、そして利き手から分かる愛犬が活躍できる分野についてのお話になります。
参考として我が家の愛犬コタローとコタ2(両方とも雄)のテストも紹介します。
お手をしたり、お代わりをしたり、いたずらをしたりと様々な動作で前足『手』を使います。
そんな時、気にすることもなく見過ごしている中にこそ利き手を判断する動きが沢山隠されています。そして、そのワンちゃんの得意分野が分かるかも知れません。
犬の利き手の調べ方について
はじめに、体の左右どちらかを優先的に使うことを『利き』と言います。さらに、多くの動物で確認されている(人間を含む)、体の左右の一方だけを選択的に使用することをラテラリティといわれてます。それでは犬の利き手を調べる方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
① 歩き始めるときどちらの前足が先に出るか
② 犬にお手おさせた時に、どちらの前足を先に乗せるか(おすわりをさせ、おやつは与えないで)
③ 犬の鼻にテープを貼った時に、どちらの前足で取ろうとするか
④ ドアを開けるときにどちら側の前足を先にかけるか
⑤ ベッドやソファーの下にある物をどちらの前足で取ろうとするか
⑥ おやつを容器や筒に入れ時に、どちらの前足で取ろうとするか
⑦ タオルでくるんだおやつや、おもちゃをどちらの前足で取ろうとするか
⑧ おやつを障害物の向こう側に隠しておいて、その障害物にどちらの前足が先にかかるか
⑨ 隠した物をどちらの前足で取り除こうとするか
⑩ 普段、前足を使う時にどちらの前足をよく使うか
など、色々ですがいずれの場合も数日にわたり回数(100回位)を重ねることで分かるといわれています。
利き手チェックは根気強く諦めずに続ける!
しかしながら100回はちょっと難しいですよね。(忘れてしまいそうな回数)
初めは中々うまくいかないと思います。何回やっても毎回違う結果になってしまったり、あるテストでは右手だったものが、もうひとつのテストでは左手だったりと、まとまった結果が出ないこともありますが、愛犬とのコミュニケーション作りのためにも、色々なパターンを組み合わせ遊びを交えながらチャレンジしてみると意外と早く傾向が分かるかも知れません。
とは言いつつも、実際やってみると根気が必要です。正直な話、愛犬コタローの利き手がどっちでも、『一緒に生活していくうえでそれ程関係ないや』と途中で諦めたり、暫く間が空いてしまうこともありましたが上記の①~⑩のテストのうち②と③を中心にテストを続けてみました。
②のテスト
お座りをしてもらい(おやつはなしで無言のまま)愛犬の前に手を差しだし、どちらの手を乗せてくるかですが、コタローの場合は左手が、コタ2の場合は右手を乗せてくることが多く見られました。
※上の写真はコタロー、チョット失敗ですが左手が動こうとしています。真ん中の写真は体勢が崩れ伏せになってしまいましたが左手が出ました。下の写真はコタ2右手が反応しました。
③のテスト
愛犬にとっては少し迷惑な話ですが、可愛いワンちゃんのおでこにシールを貼ってどちらの前足で取ろうとするかというテストです。
我が家のコタローは雄ですが、おでこに貼られたシールは左手(足)で取ろうとしていました。また、毛づくろいをする時なども左手(足)を使います。さらに、おやつを食べる時に手を使わないと食べにくいものは両手で抑えますが、その時に注目して観察してみると決まって上になるのが左手(足)になります。
このような動作は、我々人間が無意識で腕組みをする時に「右利きの人は右腕が上に、左利きの人は左腕が上に」なるのと同様なのかもしれません。試しに逆に腕を組んでみると、とても不自然な感じがします。
また、足についても同様で「右利きの人は右足が上に、左利きの人は左足が上に」自然となると思います。人間もワンちゃんも同じなんですね。同じ動物なので当然なのかもしれません。
ワンちゃんも利き手でない手(足)を上にするのはとても不自然に感じているのかもしれませんね。
愛犬コタローは、上記の①~⑩のテストや普段の行動、仕草を見ているとやはり左利きかなと思われます。ドアを開けようとする時、お手の時、何かを取ろうとする時など左手が先のようです。一方、コタ2はコタローとは逆であらゆる仕草が右から始ましした。
さらに、ご飯のときにワンちゃんが、まだ欲しいと催促のポーズで、どちらの手で先にタッチしてくるかや、甘えたい時、構って欲しい時などにどちらの手が先かや、立ち上がる時に踏み出す足など、前足を使って何かをしているのを見掛けたら、その都度どちらの前足を使うのかを確認することで案外早めに傾向が見えてくるかもしれません。
もしも、どちらか一方に偏っているような傾向がない場合には、確率は低いですが両利きの可能性もあるようです。
犬の利き手の割合は左右どちらが多い?
犬の利き手については世界中で様々な機関が研究していますが、機関ごとで違いがあり正確な数字は定まっていないようです。分かっていることは犬には利き手があるということと、犬は人間に比べると左利きが多いということです。(人間の左利きは10.6%)
例えば、オーストラリアのシドニー大学では、270頭の利き手の調査をして、右利きと左利きが15%ずつ、残りの犬はどちらともいえないという結果になりましが、参考データが多くないので結論付けられてはいません。また、犬種による利き手の差は見られなかったことも分かっています。
さらに、イギリスのマンチェスター大学によると、右利きと左利きがほぼ50%と差が見られず、両利きとみられる犬の数は少ないという結果になりました。その一方でイギリスのリンカーン大学の研究チームの調査では1万7901頭の調査で58.3%が右利きで、残りの41.7%が左利きとの報告がされています。
性別の違いについては雄の右利きが56.1%、左利きが43.9%に対して雌の右利きが60.7%、左利きが39.3%と雄の方が左利きの割合が多い。人間の場合でも女性に比べ男性の方が左利きが多いという研究結果が出ています。
犬の利き手と空間認識の関係
2016年にイタリアの調査チームによって、犬の利き手と空間認識の関係性が確認されています。
右利きのワンちゃんは右の視野を、左利きのワンちゃんは左の視野を優先的に処理すると言うことが確認され、両利きのワンちゃんには視野の処理に優先順位はないようです。この調査で確認された利き手と視覚的情報処理の優位性が仮に連動しているとすれば、愛犬に対してハンドシグナルを出す時に役立つのではないでしょうか。愛犬の利き手を前もって分かっていれば、情報を送るときに左右どちらが認識されやすいのかが分かります。
このことを踏まえコタローを呼ぶ時には必ず左側の視野を意識して左手で指示を出し、コタ2には右側の視野を意識し右手で指示を出します。そうするとかなり高い確率で反応してくれます。
利き手から分かる犬の得意分野
利き手について考えてもあまり意味がない様にも思われるかもしれませんが、犬の利き手を特定することで脳の働きの活発な部位をある程度推測できることから、犬の利き手を調べ推測することで我々人間社会に対する貢献度は計り知れないものがあります。
利き手で分かる使役犬の適性
愛犬の得意分野を利き手から推測し、セラピー犬、介助犬、盲導犬、聴導犬、警察犬、災害救助犬、麻薬犬などになるための適性を判断することでワンちゃんの持っている能力を最大限に活用することも可能なようです。
そこでどのような犬種が、使役犬(サポート)をするのに向いているのかをまとめてみました。
サポートの種類 | 犬 種 |
盲導犬・介助犬 | ラブラドールレトリバーなど |
警察犬 | ジャーマンシェパード ドーベルマン ボクサー コリーなど |
麻薬探知犬 | ビーグル ジャーマン・シェパード ラブラドールレトリバーなど |
災害救助犬 | ジャーマン・シェパード ラブラドールレトリバーなど |
セラピードッグ | ゴールデン・レトリバー ラブラドールレトリバー ジャーマン・シェパード ボーダーコリーなど |
こうしてみるとラブラドールレトリバーがあらゆるサポートに適しているようですが何故なのでしょうか?
人間をサポートする点についてもっとも大切なのは、そのワンちゃんの性格によるところが大きいのではないのかと思われます。ラブラドールレトリバーは性格上あらゆる面において適している点が多いことに気づかされます。
① 攻撃性が少なく穏やか
② 知性が高い
③ 順応力が高い
④ 服従性が高く、自分で考え判断できる能力を持ち合わせている
⑤ 状況判断が出来る知能レベルの高さも持ち合わせている
上記の5つはラブラドールレトリバーの性格、特徴ですが、そのワンちゃんの利き手がどちらなのかを調べることで前述した『脳の働きの活発な部位をある程度推測することができる』ことから得意分野の見極めができるので、それぞれの得意分野を伸ばしていくためにも利き手を確認することは、ある意味大切なことかもしれません。
ラブラドールレトリバーは、性格、特徴もさることながら人間をサポートするための脳のある部位が優れているのではないのかと思われます。
また、利き手がどちらなのかで適性を判断するための研究も進められているとか。
まとめ
愛犬の利き手を見極めるには色々な方法がありますが、どれも根気が必要です。諦めず楽しく続けることが利き手を突き止める秘訣です。
愛犬の利き手についての研究は世界のさまざまな機関で行われていますが、左右の割合については機関ごとで調査結果にばらつきがあり正確な数字は確定されていません。それでも、犬には利き手があることは研究から証明されています。さらに人間と比べ、左利きの割合が多いことも分かっています。
また、利き手がわかることで使役犬の適性をある程度判断するのにも役立っています。
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