秋になると、甘くてみずみずしい柿が店頭に並び、思わず手に取ってしまうことも。
そんなとき「この柿、うちの犬にもあげても大丈夫かな?」と、思わず考えてしまうこともある。
我が家では、体重11kgの大きいトイプードル(通称デカプー)と暮らしていて、実際に、果物好きな彼に柿をあげてみたところ予想外の反応が返ってきました。
この記事では、「犬に柿を与えても大丈夫なのか?」をテーマに、甘柿・渋柿・干し柿の違いや注意点、体重別の適量目安、そして実際の体験談を交えて、わかりやすく説明できればと思います。
安全に秋の味覚を楽しむために、我が家のデカプーの行動が、あなたの愛犬の一つの目安になれば幸いです。
犬に柿を与えても大丈夫?基本的な考え方って何?
犬に柿を与えること自体は、基本的に問題はないようです。柿の果肉には、ビタミンCやカリウム、食物繊維といった栄養素が含まれており、健康維持に役立つ成分もあります。
ただし、人間と違って犬には「果糖の処理能力」や「食物繊維の耐性」が異なるため、与える量や与え方に注意が必要になってきます。
また、柿には「甘柿」と「渋柿」があり、渋み成分(タンニン)は犬の胃腸に負担をかける可能性があるため、注意が必要です。一般的に市販されている「富有柿」や「次郎柿」などの甘柿であれば、少量を果肉部分だけ与えるのはOKのようです。
干し柿については、カロリーや糖分が凝縮されているため、肥満や糖尿病のリスクがある愛犬には不向きとか。
要点のまとめ:
✅ 甘柿の果肉はOK、それでも少量にとどめておくことがが大切です。
⚠ 渋柿・干し柿は基本、控えましょう。
❌ 種・皮・へたは必ず取り除きましょう。
デカプーの実体験!柿をあげたらこんな反応でした。
うちのデカプー(11kg)は、とにかく果物好き。ですが、柿を初めて与えたときは、私の手の上の一切れをじっと見つめ、匂いを嗅いだあと …… まさか!顔をそむけて拒否!どうやら最初は匂いが気になったのか、渋みを感じたのか?お尻を向けたあと、とぼとぼと歩きその場を去っていき戻ってはきませんでした。さくらんぼの時と同様で、初めてのものには慎重になる性格が出たのかもしれません。
後日、前回よりも少し熟して甘くなった柿で再度試してみたところ、今度はパクッと食べて満足げな表情に。それ以来、「柿=甘いご褒美」と認識したのか、私が柿をむいていると足元でお座りするようになってしまいました。
とはいえ、お座りをするたびに与える訳にはいきません。一度、干し柿のかけらを誤って落としたとき、夢中で食べそうになりヒヤッとしたことも。我が家のデカプーは自分が興味を持った物は、確認が出来るまでその行動はおさまりません。そんなこともあるので、危険なものや食べ物でカロリーや糖質が高い食品は、飼い主さんがしっかり管理しないといけませんね。皆さんの愛犬はどんな行動を取りますか?
この体験から学んだのは、「初めは見向きもしなくても、一度その味を覚えると催促をするようになる」なので、たとえ催促をされても、じっと我慢をして「様子を見ながら少しずつ」が鉄則だということ。個体差にもよりますが、わが家のデカプーのような食いしん坊な場合は、飼い主の注意力と忍耐力が必要だと思います。
次の章では、柿に含まれる栄養素が犬にどのような影響を与えるかを見ていきます。
柿の栄養素と、犬に与えるメリット・デメリット
柿には、以下のような栄養素が含まれています(100gあたり):
●ビタミンC:約70mg
●カリウム:約170mg
●食物繊維:約1.6g
●糖質:約13.3~14.3g
●βカロテン:約420μg(※オレンジ色の柿の品種による差あり)
これらは、犬にとっても適量であれば健康のサポートにつながる成分のようです。
▶ 主なメリット:
●ビタミンC:犬は人間と違い、体内でビタミンCを合成できますが、加齢や病気、ストレス状態が続くと合成量が減少するとされています。柿に含まれるビタミンCは抗酸化作用があり、免疫力の維持や老化予防に補助的な役割を果たす可能性があります。
●カリウム:カリウムは体内の水分バランスを調整するミネラルで、余分なナトリウム(塩分)の排出を促進します。これにより、むくみの軽減や血圧の安定に寄与します。塩分摂取が多めな食事や、ドライフード中心の犬にはカリウムの摂取が有効な場合もあるようです。
●食物繊維:柿に含まれる食物繊維は主に水溶性と不溶性の両方が含まれており、腸内環境を整える効果があります。便秘気味の犬や、腸内フローラのバランスを整えたい犬にとっては、少量の柿が役立つこともあります。ただし、過剰摂取は軟便の原因にもなるため注意が必要になってきます。
●βカロテン:柿のオレンジ色の元となっている成分で、体内でビタミンAに変換されるプロビタミンです。ビタミンAは視力の維持・皮膚や粘膜の健康、免疫力の維持に関与しており、シニア犬や乾燥肌が気になる犬に有効な栄養素です。脂溶性のため、脂肪分を含む食材と組み合わせることで吸収率が向上します。
▶ デメリットと注意点:
柿は健康に良い栄養素を多く含む一方で、以下のようなデメリットや注意点もあります。
●糖質が高い(約13.3~14.3g/100g):柿は果物の中でも糖質がやや高めで、与えすぎると肥満や血糖値の上昇を招くおそれがあるようです。特に糖尿病や肥満傾向の犬には注意が必要ですね。また、干し柿になると水分が抜けて糖分が凝縮されるため、さらにカロリー・糖質が高くなってしまいます。
●タンニン(渋み成分)による消化不良:特に渋柿や未熟な柿にはタンニンが多く含まれ、胃腸に刺激を与えて下痢や嘔吐の原因になる可能性があります。またタンニンは鉄分の吸収を妨げる働きもあり、貧血気味の犬にとっては逆効果となる可能性もあるとのこと。
●消化不良のリスク(食物繊維・皮):食物繊維は適量なら良いのですが、与えすぎると軟便やガスの原因になります。また、皮は固く消化しにくいため、腸閉塞や嘔吐のリスクも。必ず皮をむき、柔らかく熟した果肉のみを与えましょう。
●アレルギーの可能性:果物に対してアレルギー反応を示す犬もいます。初めて与える場合は、少量から試し、体調や皮膚の異常が出ないか注意深く観察してくださいね。
★高カロリー甘柿(約63kcal/100g)渋柿(約59kcal/100g)さらに、干し柿にすると約274kcalにもなってしまいます。
要点のまとめ:柿には健康に役立つ栄養素が多く含まれていますが、与え方を誤ると逆効果になることも。
特に、糖質の高さ・タンニンの刺激性・消化性の低さ(皮や未熟な果肉)には注意し、熟した甘柿の果肉を適量だけ与えるようにしましょう。そして、柿はあくまで「おやつの範囲」で。日常的に与えるのには向いていないようです。
柿の「部位別」安全性と与えるときの注意点は
柿を犬に与える際には、「果肉」以外の部位に安全上のリスクが潜んでいるため、どの部分が安全で、どの部分が危険なのかを正しく理解しておくことが重要です。
以下に、柿の部位ごとの安全性と与える際の注意点を詳しくご紹介します。
🍊【果肉】… ◎ 基本的に安全だが、熟度と量に注意
熟した甘柿の果肉は、犬にとって比較的安全な果物のひとつです。
ビタミンCやβカロテン、カリウムなどの栄養素を含み、少量であれば健康に良い影響もあります。
ただし、安全に与えるには以下のポイントを守りましょう:
●未熟な果肉は避けること(タンニンが多く、胃腸に刺激を与える)
●与える量は体重に応じて調整すること(糖分過多に注意)
●一気にたくさん与えないこと(消化不良・軟便のリスク)
🍊【皮】… △ 消化しにくく、胃腸トラブルの原因に
柿の皮は、人間にとっては問題なく食べられる部位ですが、犬には消化しづらく、腸に負担をかける可能性が高いため基本的に与えるべきではありません。
特に以下のリスクがあります:
●消化不良による嘔吐や下痢
●皮の繊維質が腸に詰まり、閉塞を起こす可能性
●皮に付着した農薬やワックスが体に悪影響を及ぼすおそれ
安全に柿を与えるには、皮は必ず丁寧にむくようにしましょう。
🍊【種】… × 絶対に与えてはいけない(誤飲・腸閉塞の危険)
柿の種は非常に硬く、丸みを帯びているため、誤って飲み込んでしまう危険性が高い部位です。
犬にとっての具体的なリスクは:
●喉や食道に詰まり、窒息を引き起こす
●胃や腸で詰まり、腸閉塞・開腹手術が必要になるケースも
●消化器官の内壁を傷つけ、出血や炎症を招く可能性
一見丸くて安全そうに見えても、柿の種は絶対に与えないようにしましょう。
🍊【へた】…×タンニンが集中し、強い渋み・刺激の原因に
柿のへた(果実の上部の固い部分)には、タンニンが特に多く含まれていることが分かっています。タンニンは、消化器官を刺激して下痢や胃痛を引き起こす可能性があります。
また、へたは硬く、繊維も強いため:
●消化されにくく胃腸に長く残る
●渋みが強く、嫌悪反応を示す犬も多い
●乾燥したへたは硬度が増し、腸内で詰まりの原因にも
安全に配慮するなら、果肉だけをカットして与え、へた部分は切り捨てることが基本です。
上記のまとめ:安全に与えるには「果肉のみ」を「少量」で
部 位 | 安 全 性 | コメント |
果肉 | ◎ | 熟していれば基本的に安全。量に注意。 |
皮 | △ | 消化しにくいため避けるのが無難。 |
種 | × | 誤飲・腸閉塞のリスク大。絶対NG。 |
へた | × | タンニン・硬さの問題あり。避けるべき。 |
柿は果肉部分であれば安全に楽しめる果物ですが、それ以外の部位には犬にとって深刻な健康リスクがあります。特に種やへたは命に関わるケースもあるため、十分に下処理した上で、少量だけ与えることが何より大切です。
体重別の適量目安と、与え方の工夫について
柿は果肉だけであれば犬にとって比較的安全なおやつですが、糖質・カロリーが高いため、与える量には注意が必要です。まずは栄養面から見た適量の考え方、そして体重ごとの目安量を整理していきます。
柿のカロリーと糖質量(100gあたり)
●カロリー:63kcal ●糖質:約約13.3~14.3g
これは、体重5kgの犬が1日に必要とするカロリー(約374kcal)のおよそ17%に相当します。
そのため、「おやつとしての一部」という位置付けで与えるのが基本です。
「おやつに充ててよい割合」は愛犬が1日に必要とする総カロリーの10%以内が推奨されています。例えば11kgのデカプーであれば、おやつから摂るカロリーは最大でも67.5kcalまでが目安になります。
つまり、柿を1/3個(約60g、37.8kcal)程度にとどめておけば、他のおやつとのバランスも保ちやすく安全です。
愛犬の体重からカロリー数を割り出す計算式は→愛犬のためのカロリー計算方法からご確認ください。
【体重別】1回あたりの適量とカロリー(目安)
犬の体重 | 1回の目安量 | カロリー(63kcal/100g換算) |
5kg | 約20g | 約13kcal |
10kg | 約40g | 約25kcal |
15kg | 約60g | 約38kcal |
20kg | 約80g | 約50kcal |
与え方の工夫とポイント
カットの仕方:
・皮と種、へたは必ず除き、小さくカットして与えることで誤飲を防ぎます。
・柔らかく熟した部分だけを選ぶと消化もしやすく安心です。
柿を冷やして与えるのはアリ?
「冷凍柿」や「シャーベット状の柿」は一見魅力的なおやつですが、柿の旬は秋口~初冬。ですが最近は異常気象などで、いつまでも暑い日が続くようになってきました。秋の残暑や初冬の暖房による乾燥が気になる時期には、一口サイズの冷やした柿を室温に少し戻して与えるのは良いかもしれません。。ただし、以下に注意しましょう。
★冷たすぎる果物は胃腸を冷やす原因になる
★凍らせたまま与えるのは避ける(食道や歯への刺激)
そのため、柿は“冷やしてから軽く常温に戻す”のが安全です。
まとめ:犬に柿を与えるときのポイント
●甘柿の果肉は少量であればOKです。
●渋柿・干し柿・種・皮・へたはNGです。
●初めて与えるときは「ひと口」からが安全です。
●体重別に適量を守ることが大切になります。
●実体験からも、柿の甘さに反応はさまざまです。
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