甘くてジューシーな南国フルーツ「パイナップル」。夏場に冷やして食べると最高ですが、「これって犬にも与えてもOKなの?」と気になる飼い主さんも多いはず。今回は、犬にとってのパイナップルの栄養価、与えることで得られるメリット、適量の目安、そして注意点にも注目!健康的なおやつとしての活用法を学びましょう。
犬はパイナップルを食べてもOKなの?
犬が食べても適量であれば問題ないとされている果物は沢山ありますが、パイナップルもその中のひとつです。理由としては、パイナップルには犬の健康を維持するうえで役に立つ栄養素が含まれているからです。中でも、ビタミンC、ビタミンB群、カリウム、食物繊維などが豊富なので、免疫力向上や消化機能の改善、便秘解消に役立つことが期待されているのでOKです。では、具体的にパイナップルのそれぞれの栄養素に対して犬の健康にどのように役立っているのでしょうか?
パイナップルの栄養素と犬にとっての健康メリット
ビタミンCについて
犬はビタミンCを体内で生成できますが、加齢やストレス、病気の影響で不足することもあります。パイナップルには100gあたり約35mgのビタミンCが含まれており、抗酸化作用によって細胞や組織を酸化から守り、免疫力を高める効果があります。また、コラーゲンの生成を助けるとともに皮膚や骨の健康維持にも貢献しています。さらに、鉄分の吸収を促進し貧血予防にも役立ちます。
ビタミンCを摂取した方が良い犬は:
●骨、関節トラブルを抱える犬 ●肝臓病 ●皮膚トラブル ●散歩好きで運動量が多くなる犬
●肝不全や腫瘍でビタミンCを体内で合成する能力が落ちている犬 ●夏バテや熱中症の愛犬たち
ビタミンB群について
犬の健康維持・増進に不可欠な栄養素で、エネルギー代謝や神経系の健康維持に不可欠で、特にビタミンB1、B2、B3、B6、B12は、脳や神経の機能をサポートし、成長や発育に重要な役割を果たします。ビタミンB群が不足すると、食欲不振、成長不良、貧血、神経症状など、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。
■ビタミンB群を摂取した方が良い犬は:
●運動量の多い犬 … 運動によって疲労物質が蓄積されるため、ビタミンB群の補給が重要です。
●食欲が落ちている犬 … 食欲が落ちると、さまざまなビタミンやミネラルの不足が起こる可能性があります。
●老犬 … 老齢に伴い消化吸収能力が低下するため、ビタミンB12の吸収が悪化し、貧血のリスクが高まる可能性があります。
●病気で薬を服用中の犬 … 薬の代謝は免疫機能に関わるため、病気で薬を服用中はビタミンB群が不足しやすくなります。ステロイドなどの薬は、体内の代謝を変化させ、多飲多尿、多食などの症状を引き起こすことがあります。
ブロメライン(たんぱく質分解酵素)について
パイナップルに特有の酵素で、たんぱく質の消化を助ける働きがあります。特に肉中心の食生活をしている犬にとっては、胃腸の負担軽減に効果的です。また、筋肉疲労や筋肉痛の改善、炎症の抑制、免疫力向上に役立つ可能性もあります。
■ブロメラインを摂取した方が良い犬は:
●運動量の多い犬 …ブロメラインは筋肉に蓄積された老廃物を分解し、炎症を抑制することで、筋肉疲労や筋肉痛の改善に効果的とされています。
●消化機能が低下している犬 … ブロメラインはタンパク質を分解し、消化吸収を助けるため、特に肉や魚などのタンパク質を消化しやすくします。
●免疫力が低下している犬 … ブロメラインは免疫細胞の働きを活性化させることで、免疫力を高める効果が期待できます。
●毛玉のできやすい犬 … ブロメラインは毛と毛をくっ付けているタンパク質を分解し、毛玉の形成を抑制するため、毛球症の予防に役立ちます。
●様々な炎症を患っている犬 … ブロメラインは炎症を抑制する働きがあり、関節炎や皮膚炎など、様々な炎症性疾患の緩和に役立つ可能性があります。
食物繊維について
水溶性と不溶性の両方が含まれており、便秘の改善や腸内環境の安定に寄与します。適度に摂ることで排便がスムーズになることや食物繊維は消化されないため、腸内でうんちの量を増やし、便秘を予防します。また、消化時間を長くすることで腹持ちを良くし、腸内細菌のバランスを整える効果もあり老犬にもおすすめです。
■食物繊維を摂取した方が良い犬は:
●便秘気味の犬 … 食物繊維は腸内を刺激し、便秘を予防または改善します。
●腸内環境が不安な犬 … 食物繊維は腸内細菌のバランスを整え、健康な腸内環境を維持します。
●ちょっと太り気味の犬 … 食物繊維は食べ過ぎを防ぎ、体重管理に役立ちます。
●消化に不安がある犬 … 食物繊維は消化を助け、消化器系のトラブルを防ぎます。
●肝臓の機能低下気味の犬 … 食物繊維は体内の老廃物の排泄を促し、健康維持に貢献します。
●食欲を抑えたい犬 … 食物繊維は胃の中で長時間滞在するので、腹持ちを良くし、食欲をコントロールするのに役立ちます。
カリウム・マンガンについて
犬の健康に様々な良い影響をもたらします。カリウムは血圧の安定やむくみ予防に効果的で、マンガンは骨や結合組織の形成、血糖値の調整、抗酸化作用に役立ちます。
■カリウムを摂取した方が良い犬は:
●血圧が高い犬 …カリウムは塩分(ナトリウム)を体外へ排出する働きがあり、血圧を正常に保つ効果が期待できます。
●むくみのある犬 …カリウムには、体内の水分バランスを調整する働きがあり、むくみの解消に効果的です。
●心臓が不安な犬 …カリウムは心臓や神経、筋肉の働きにも関与しており、これらの機能を正常に保つのに役立ちます。
■マンガンを摂取した方が良い犬は:
●関節が弱い犬 …マンガンは、カルシウムの吸収を促進して骨や関節を補強する働きや、結合組織を合成する際に必要な酵素の働きを助けます。
●糖尿病の犬 …血糖値のバランスを整えるのに役立ちます。
●病気がちな犬、シニア期前の犬 …体内の活性酸素を除去する抗酸化作用があり、健康維持に貢献します。
※上記の栄養素などは愛犬の健康維持を助ける働きがあるのでパイナップルは適量であればOKになります。
犬に与えるパイナップルの適量は?
「安全重視寄り」と「カロリー理論寄り」それぞれの目線でご紹介します。
あなたはどちらを適量としますか?
犬にパイナップルを与える際は、果肉のみを少量、そして安全を最優先に考えます。また、ブドウ糖、食物繊維、カリウムを多く含んでいるため、腎臓病の犬や肥満気味の犬には与えすぎないよう注意が必要です。与える量や頻度を調整し、犬の体調を観察しながら安全に与えるようにしましょう。
与える量については、犬の体重や体調、年齢によって異なりますが、一般的に、小型犬では数mm角、大型犬でもひと口サイズ程度が目安です。初めて与える場合は、少量から始め、愛犬の様子を見ながら量を調整しましょう。犬は人間よりも消化器官が小さく、飲み込みが苦手な場合があります。そのため、小さいサイズにすることで、消化の負担を減らし、窒息などのリスクを避けることができます。また、小型犬や高齢犬には、すり潰すことでより安全が確保されます。
小型犬一口サイズの目安:8mm角程度の一切れの場合、約5gで約2.5kcal。(小サイズ)
大型犬一口サイズの目安:厚さ1cm、長さ2.5cm程度の一切れの場合、約15gで約8kcal。(大サイズ)
※上記はパイナップル100gあたり54kcalのカロリーを基準としたものです。
パイナップル適量表/目安 | ||
体 重 | 安全重視寄り:g数/kcal数/個数 | カロリー理論寄り:g数/kcal数/個数 |
1㎏ | 10g/6kcal/約小4 | 20g/11kcal/約小2大1 |
3㎏ | 23g/12kcal/約小3大1 | 47g/25kcal/約小1大3 |
5㎏ | 34g/19kcal/約小2大2 | 69g/37kcal/約小4大4 |
7㎏ | 44g/24kcal/約大3 | 88g/47kcal/約大6 |
9㎏ | 54g/30kcal/約小4大3 | 107g/58kcal/約小1大7 |
10㎏ | 60g/32kcal/約大4 | 117g/63kcal/約小5大7 |
11㎏ | 63g/34kcal/約小1大4 | 125g/67kcal/約小2大8 |
12㎏ | 68g/37kcal/約小3大4 | 134g/72kcal/約大9 |
13㎏ | 72g/39kcal/約小5大4 | 142g/77kcal/約小3大9 |
14㎏ | 75g/41kcal/約大5 | 150g/81kcal/約大10 |
15㎏ | 80g/43kcal/約小2大5 | 158g/85kcal/約小3大10 |
20㎏ | 99g/54kcal/約小4大6 | 196g/106kcal/約大13 |
25㎏ | 118g/64kcal/約小5大7 | 232g/125kcal/約小3大15 |
30㎏ | 134g/73kcal/約大9 | 265g/143kcal/約小4大17 |
※上記の表は避妊・去勢済みの成犬の場合の摂取量になり、パイナップル100gあたり54kcalのカロリーを基準としたものです。
★上記の表を参考に安全重視寄りの考え方について詳しく
愛犬の躾に、ご褒美としておやつをあげることはOKですが、躾が中々思うようにいかないと知らず知らずのうちにおやつの回数が増えてしまったり、散歩などでおやつをあげることもあると思います。さらに、普段お家にいるときに催促をされると、ついあげてしまうこともあると思いますが、カロリー計算をしてあげている方はどの位いらっしゃるでしょうか?
つまり、愛犬が1日に必要な摂取カロリーのうちの10%をパイナップルを与える前に10%近くまで達していたり、それを超えていることも考えられます。ですので、パイナップルをあげる日には他のおやつをあげないなどの配慮も必要になります。
※愛犬が1日に必要なカロリーは、体重やその犬の健康状態、年齢、運動量、避妊・虚勢済みかどうかなどで変わってきます。さらに、愛犬が1日に食べていいパイナップルの量は、1日に必要な摂取カロリーのうちの10%以内が適量です。
●コタ2は雄のトイプードルで2歳6ヶ月、体重11㎏、去勢済み、運動量少し多め
●ドックフード:体重サポート用
●給飼量:180g/1日(フードの袋に記載あり)
●カロリー:100gあたり332kcal(フードの袋に記載あり)
●コタ2の必要な摂取カロリー数:332/100×180=597.6 約598kcal
●おやつとして与えられるカロリー:598×10%=59.8 約60kcal
★上記の表を参考に理論重視寄りについて
理論的に間違いではないのでOK。ただ、愛犬に与える量は飼い主さんの考え方次第だと思います。ギリギリ限界値まで与えるか余裕をもって与えるか、愛犬の体調などを考えながら適量を決めてみてはいかがでしょうか。
犬にパイナップルを与える際の注意点
●缶詰や加工食品はNG : 缶詰やジュースなど、加工されたパイナップル製品には、糖分や添加剤が多く含まれているため、犬には与えないようにしましょう。
●葉、芯、皮は絶対に与えなければOK:葉や芯は硬く、皮にはトゲがあるため、犬の消化器系を傷つけたり、消化不良を起こしたりする可能性があります。

芯は取り除く
●下痢や便秘を引き起こす可能性がある:食物繊維が豊富に含まれるため、与えすぎると消化器系のトラブルを引き起こす可能性がある。
●アレルギーにも気を付ければOK:犬によっては、パイナップルにアレルギーを持つ場合があります。初めて与えるときは小指の先ほどから始めて様子を見ましょう。
●糖尿病、腎疾患のある犬には要相談:かかりつけの獣医師に確認をしてからにしましょう。
まとめ
パイナップルは、ビタミンや酵素、食物繊維が豊富で、犬にとっても健康的なおやつになり得るのでOKです。ただし、与えすぎは消化不良や糖分過多のリスクにつながるため、「適量」と「与え方の工夫」がポイントです。加熱せず、皮や芯をしっかり除き、フレッシュな状態で少量ずつ与えるのが理想。おやつのバリエーションとして、上手に取り入れていきましょう。
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