犬の散歩中に指示を出していないのにお座りをすることがあります。おっ、「可愛いじゃん」と、つい思ってしまうこともありますが、実は愛犬なりに意味があってお座りをしています。そのお座りにはどんな意味や目的があるのかについてみていきます。
散歩中に他の犬を、お座りをして待つ行動について我が家のコタ2の例から確認します。
散歩中にお座りをして他の犬を待つのはどうして?
初めにコタ2「トイプードル・♂・現在2歳」が他の愛犬と出逢った3つのケースから
1. 散歩デビューしたての頃に初めて出逢った小型犬「当時1歳半くらいのポテコちゃん・♀」と、意気投合しお互い全く吠えることなく、遊びに没頭し、時にはワンプロ状態になり中々終わらないことも。そして、何度かで会っているうちにコタ2はポテコちゃんを見かけるとお座りをしてじっと待つようになりました。暫くの間、何故お座りをして待っているのかその気持ちが分かりませんでした。
2. ジャックラッセルテリア「ルー君・2歳半・♂」の場合でも、散歩中に見かけるとお座りをしてじっと待っていて射程距離になるとお互いが駆け寄り、きつめの挨拶が始まり、疲れてくると小休止。吠えることは一度もありません。ワンプロは「ルー君」の場合が一番激しい。それでも、落ち着いてくるとお互いが顔を突き合わせ「ヨロシクね」のご挨拶。
3. さらに、トイプードル「HANAちゃん・9ヶ月・♀」とも同じように見かけるとお座りをして待っています。HANAちゃんはコタ2の顔に手をかけますが、コタ2は全く動じることなく顔を舐めたりし吠えることもありません。1、2、3共に顔を舐める行為はコミュニケーションを図りたいという意思の表れで、相手が受け入れた場合にはお互いの相性がよく、愛情表現の一つでもあります。
散歩中のお座りは人間の言葉に代わる表現方法の一つ
愛犬には言葉がありません。人間の言葉に代わるものがボディーランゲージです。このボディーランゲージを使って様々なコミュニケーションを図ろうとします。そのボディーランゲージのことをカーミングシグナルと言ってその数は約30ぐらいあると言われています。勿論、散歩以外でもこのカーミングシグナルは使われています。
カーミングシグナルの一例
視線を逸らす……相手に対して敵意がないことを伝えたり、ストレスから逃れたいときなどにみられる行動。
あくびをする……ストレス解消や緊張緩和のための動作。
背中を向ける……落ち着いてもらいたいときや不安を感じたときにみられる行動。
伏せをする……興奮した気持ちを自ら落ち着かせようとしてとる行動。
鼻や口を舐める……自分の緊張や興奮を抑えて相手の感情を落ち着かせ、争いを未然に防ぎたいときのしぐさ。
お座りをする……相手に対して敵意がないことを伝え落ち着かせたいための行動。
お尻をあげ前足を揃え前に伸ばす体勢……プレイバウといって、遊びを誘う行動。
鼻を上に突きあげる……匂いを嗅ぐようなしぐさは、離れた場所にいる相手に対して敵意はないことを伝えるための行動。
しっぽを振る……相手に対して警戒心を抱いていると素早く小刻みにふり緊張していることがあり、高く上げて小さくゆっくりと振るときは威嚇している可能性があるので、その時の状況や愛犬の表情で見極める。
ゆっくりゆっくりと近づく……敵意がないことを相手に伝えるための行動。
散歩中のお座りは他の犬と飼い主さんに自分の気持ちを伝えるため
上記のカーミングシグナルは、散歩中以外にも見られることはありますが「お座りをする」は「相手に対して敵意がないことを伝え落ち着かせたい」と言うものですが、初めて会う人や犬に対しては不安や緊張などの心理的な感情を抱いてしまいます。ですので、初対面の人や犬から受けるストレスを分散するために、相手を落ち着かせようとする反面、自らお座りの態勢をとり落ちつこうとする場合もあります。
また、周りに他の愛犬達が見当らない場合に、飼い主さんの側に静かにお座りをすることがあります。このような場合は飼い主さんに対して何かをして欲しいとアピールしていることがあります。例えば、水が欲しい、おやつが食べたいなど。この時に愛犬は飼い主さんに対して視線を送ることもあります。
さらに、散歩中に急にお座りをして動かなくなることがありますが、このような時にはストレスを感じている場合があり、飼い主さんに落ち着いて欲しいという思いを伝えるためお座りをすることがあります。周りの状況を見ると、何かの物音がしていたり人の話し声が聞こえていたりすることがあります。
散歩中に限らず気を付けたい愛犬のお座りがあります。お座りの態勢がいつもと違うと感じた時には注意が必要です。座り方がぎこちない、体がどちらかに傾いている、伏せに近い状態などの場合には体調が万全ではないことがあります。例えば、足自体が痛かったり、関節や膝に異常があったり、腰などが痛かったりすることがありますので、このような異常に気が付いたら早めに動物病院で診察を受けましょう。
散歩中での他の犬との接し方
愛犬達も私たち人間と同じように色々な性格のコがいて自己主張の強いコもいれば、控えめでおとなしく内気なコや明るく天真爛漫で活動的に動き回るコなど様々です。そんなコたちが散歩中に出会うと、すべてお互い仲良しになれるとは限りません。ですので、愛犬達の最初の出逢いはその後の散歩にも大きく影響してくることがあります。
犬にも個性があるので我が愛犬の性格を把握する
散歩中に出会う沢山の愛犬達がどんな性格をしているかは全く分かりません。そこで大切なのが我が愛犬の性格を把握しておくことがとても重要です。その判断ポイントは
●犬好きなのかそれとも犬嫌いなのか?
●人好きなのかそれとも飼い主さん以外は苦手なのか?
●何に対したも興味を持つかそれとも無関心か?
●興奮するタイプかそれとも落ち着いているか?
●物音に対して敏感かそれともあまり動じないタイプなのか?
●フレンドリーかそれとも敵対的か?
●待て!お座りの指示に従えるか?
等々を飼い主さんは知っておくとよいでしょう。そのうえで、散歩で出会う愛犬の様子を見ながら我が愛犬とどのくらい接点があるのかを見極めるようにしましょう。
例えば
人間でも他の人と出会うことが好きで、出会った人と意気投合し楽しく過ごすことが得意な人もいれば、人付き合いがあまり得意でない人もいます。犬たちも同様で、我が愛犬が犬好き、人好きでも他の犬が同じとは限りません。また、他の犬たちに積極的に興味を示すコもいれば無関心なコもいますので、その場の状況を判断して飼い主さんがリードしてあげることが散歩を楽しくするコツなのかもしれません。
散歩中に愛犬のために飼い主さんが気を付けたいこと
◆愛犬の前に飼い主さん同士の挨拶が大切です。「おはようございます、こんにちわ、こんばんわ」の後に愛犬の様子を見て「挨拶は大丈夫ですか?」と確認をしてみる。仮に、我が愛犬が大丈夫でも相手の飼い主さんが「うちのコはチョット「ビビリなんで」と言われたら、我が愛犬をうまく誘導してその場から立ち去るようにしましょう。
◆通りの反対側を散歩している愛犬と我が愛犬がお互いに歩み寄ろうとした時には、車などには十分気を付けながら近づき飼い主さんの了解を得たうえで愛犬同士の挨拶をさせてあげましょう。近づく前に吠える場合には相性が悪い場合もあるので無理をせずに離れるようにしましょう。
◆飼い主さん同士が知り合いで何度も出会っているのにも拘らず、相手の愛犬が吠える場合に我が愛犬が吠えなければこちらから静かに近ずき、お座りをしてそのコに「大丈夫、大丈夫」と優しく声をかけ体を優しく撫でてあげます。そうすると吠えるのを止め落ち着き、愛犬同士がフレンドリーな関係になってくることがあります。これは私の実体験です。
◆犬よりも人の方が好きな犬がいます。お座りをして待っていても、近づいてくると犬よりも飼い主さんに飛びついてしまうことが多くあります。こんな時は「すみません」と、一言謝りましょう。ほとんどの場合「大丈夫」ですと言ってくれますが、人だけの場合でも駆け寄っていくことがあります。犬好きの人であれば救われますが、中には犬が嫌いな人もいますので気をつけなければなりません。
◆こちらがお座りをして待っていても相手側が通りすがりに吠えだすこともあります。こんな場合には「待て」と言って指示を出し「遊べないよ」と言い通り過ぎていくまで待たせましょう。
まとめ
散歩中に愛犬がお座りをして他の犬を待つのは、相手の犬に対して敵意がないことを伝え落ち着いて貰うのと同時に自分も落ちつこうとする気持ちの表れで、言葉を持たない愛犬にとっては唯一の伝達手段になり、この行動がカーミングシグナルです。
また、散歩中のトラブルを避けるために愛犬の個性を飼い主さんが把握しておくことも大切ですし、飼い主さん同士の気遣いも忘れずに楽しい散歩が出来るようにしていきたいものです。
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