愛犬達は本来争いごとを好まず、何よりも平和を愛する究極の動物!

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愛犬達は人間と生活を共にするようになって、野生で厳しい生活をしていた時と比べ様々な環境が変わり、狩りの必要もなく外敵から自らの身を守る必要がなくなりました。

群れを組んで平和な生活をしていた犬たちには社会的な服従を示すポーズがあり、一例として『お辞儀に似たポーズ』『お腹を見せるポーズ』『手招きのポーズ』『相手の口元を舐める』等々は、地位の低い犬が地位の高い犬に見せる行動で、あなたのことを信頼しているので『争いごとは避け仲良く一緒に遊ぼう』という気持ちが込められていて、愛犬達は本来争いを好まず平和を愛する動物なのです。

それでは、愛犬達の争いごとを避け平和を愛する心はどこで養われてきたのか?そのルーツを辿ってみる。

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愛犬達の平和第一主義のルーツはオオカミ!

愛犬達の祖先は狼(オオカミ)説が有力とされていまが、私達人間は狼に対してあまり好印象はなかったようで、童話『赤頭巾』では赤頭巾チャンを食べようとする悪役にされているなど一見、凶暴で怖いイメージがあるのかも知れない。しかし、実際は人間を襲うことはなく、極めて平和的。インドには子供を育てたという話も数多くある。(噂話みたいですけど)

さらに長野県には、オオカミがお産するための穴を見つけ赤飯を重箱に詰めて巣穴の前に供えると、無事にお産を終えたオオカミは空になった重箱を供えてくれた村人の家まで返しにいったという民話もある。

昔話に登場するオオカミは『怖いやつ』や『悪者』などのイメージが定着しているようですが、本来は見かけによらず争いごとを好まず平和に過ごすことを何より第一に考える賢さを持ち合わせた動物なのかも知れません。

と言うのもオオカミは、自分が気を許した相手に対してはとっても穏やかに接し友好的で、さらに、情にも厚く感情がとても豊かで、積極的にコミュニケーションをとり、おどけた表情を見せたりもします。また、ボディーランゲージを巧みに使いこなし相手に自分の気持を伝えることが出来ます。例えば、服従のポーズは仰向けに寝てお腹を見せたりします。

これらの行動は人間と生活を共にするようになった愛犬達に受け継がれています。

争いごとを避けるオオカミの能力と性格

争いごとを避ける行動は厳しい序列のもとに成り立っています。通常、繁殖のペアが群れのトップに収まり、10頭前後で群れを形成し、生きていく上で大切な狩りのタイミングや指示、外敵から身を守る方法などを積極的に行動をもって示します。

序列のもと無駄な争いは起きない

ただ、この序列は生涯続けられないこともあります。その場合は、雄同士が戦いによってトップを決めるのではなく、総合的な力を見極め群れのトップを決めています。これはオオカミ特有のもので他の動物には見られない特徴のようです。

ただ、単純に戦う力が強いから『トップの座』と言うことではなく、総合的な力をもって争いごとを平和的に解決する手段を持っているオオカミの能力には驚きを禁じえない。我々人間達も少しは見習わなければ!

その総合的な力とは何か!?

1. 戦闘能力
狩りをする場合の走力や持久力などは獲物を追い詰めるためには必要不可欠ですが、その走力は獲物を追うときには時速70㎞と早く20分位は持続できる。そして跳躍力も走っている時には5mも飛ぶことが出来る。また、時速を30㎞におとすことで7時間近く走り続けることが出来るようです。スピードではチーターには劣るものの、持ち前の持久力でしつこく追い回し体力が落ちてきた獲物を仕留めていく。さらに、群で行動することで大きな動物が仕留めた獲物を奪い取ることも可能。

狩りをするうえで欠くことのできない聴覚、臭覚、視力にも優れている。耳の形は三角形で小さめだが集音力は森林地帯で約9㎞、草原地帯では約16㎞先の音を聞き取れると言われている。臭覚は1.5㎞程離れていても獲物を嗅ぎ別けることが出来る。視力も、目には光を反射できる輝膜と呼ばれる層があり夜間でも獲物を捕らえることが可能とされている。

また、自分よりも大きな相手でも仕留めることも可能。ちなみに噛む力は200㎏位はあるようです。狩りの方法は、最初の一頭が襲いかかりそれに習って残りのオオカミが後に続きます。

以上のようなものがオオカミが狩りをするために備わった戦闘能力だ。

2. 威嚇行動
オオカミの威嚇行動は上唇を上げ歯、歯茎をむき出しにして低い声で唸ったり、鼻にしわを寄せ牙をむいたりと、その表情からはものすごい迫力が感じとれる。群れで行動を共にするオオカミはコミュニケーション能力にも優れ鳴き声や匂いの他、動作などでお互いが威嚇行動を確認することができる。

オオカミの遠吠えは、遮るものがない草原地帯であれば10㎞程先まで届くようです。

3. 性格
子育ては母親のみならず群れ全体で育てていく傾向があり、巣穴に母親がいない時などには群れのオオカミが子供と一緒に遊んだりすることで社会性を身につけていく。群れの仲間には分け隔たりなく接し面倒見が良い性格なのです。

群れで生活をするオオカミたちはボディーランゲージで仲間に様々な感情を伝え嬉しいときには尻尾を振り喜びを表現します。また、アイコンタクトを使いお互いに警戒を強めたりもします。とにかく感情豊かな性格で、これらは愛犬達にも共通しているところです。

オオカミが狩りをする時の特徴として、必ずしも獲物をしとめるまで追うことはなく、途中で止めてしまう事もある。それは、無理と判断した時には深追いをせずに素早く切り替え、他の獲物に集中したり体力温存に努める。良く言えば要領よく賢い。悪く言うと諦めやすい性格ともいえる。

オオカミは単純に強さだけではなく、前述をした1~3も含め総合的な力でトップを決めているようです。

このように、オオカミは力のみを争って物事を決めるのではなく、群全体を見渡し助け合う能力も必要なのだ。これらの総合力をもって争うことなく平和的に解決していく。

さらに!

見逃すことが出来ないのは、オオカミは愛情たっぷりに面倒を見てくれた人間のことを忘れることはなく、怪我をしたオオカミを保護して完治するまで手当をし、その後、自然界に戻し月日が経って再会すると、再会の喜びをボディーランゲージで表現することもあるようです。(尻尾を振り身体を擦り付けてくるなど)

となると前述した『インドの子育ての話』『長野県の重箱を返した』話は、まんざら噂や作り話でもない様に思えてきますが?

こうしたオオカミの習性、行動は今の愛犬達に全てではないにしても受け継がれている部分も多くあるようです。

オオカミは人間と同じ一夫一婦制で、一度つがいになると生涯をともに過ごし人間のように浮気はしません。また、どちらか一方が先だったとしても他の相手を求めることなく、群を持たない場合は生涯を一人で過ごしますが、つがいの片方が亡くなったショックで元気がなくなり亡くなってしまうこともあるようです。それだけ夫婦愛が強いのでしょうね。人間も少しは見習うところがあるように思えます。そうすれば、夫婦間の争いも少なく平和な時間を得られるのでは。

平和を好むオオカミの生い立ち

狼(オオカミ)たちはタイリクオオカミ(ハイイロオオカミ)が一般的に知られています。大陸狼とは文字通リ世界の各大陸(ヨーロッパ・アジア)のユーラシア大陸(アメリカ合衆国〈ハワイを除く〉・カナダ全土・デンマーク領のグリーンランド)などの北アメリカ大陸と南アメリカ大陸やアフリカ大陸北部などに生息。

ハイイロオオカミ

近年は生息数が急速に激減しているようですが、そんな中でも一番多く生息が確認されている地域は気温が0℃~10℃の寒冷地で、7㎝ぐらいの体毛で覆われている。なので愛犬達も比較的寒さには強いが暑さには弱いのかもしれない。

日本でもかつては本州、四国、九州に生息していた二ホンオオカミや北海道に生息していたエゾオオカミなどは現在では絶滅したとされています。二ホンオオカミもエゾオオカミもタイリクオオカミが多くの亜種に細分化された中のひとつのようです。

現在確認されている亜種は39、うち6亜種は絶滅種。さらに研究が進み13亜種、2亜種の絶滅種の提案がなされているようです。

争いを避けるオオカミの遺伝子を多く受け継ぐ犬種は?

数多い犬種の中でオオカミに一番近いのはいったいどの犬種なのか?これにはすごく興味がわいてきます。それは以外にも日本の柴犬なんですね。次に中国のチャウチャウ、その次は日本の秋田犬と続きます。

日本の柴犬がオオカミに一番近いとは正直驚きです。オオカミに近いという事は原始的ということになりますが、見た目からはチョット信じ難いところです。見た目にはシベリアンハスキーとかアラスカン・マラミュートなどが近い感じがしますが、見かけだけで判断するのは禁物。

オオカミのDNAを多く受け継ぐ柴犬

見た目はオオカミに似ているシベリアンハスキー

なので、柴犬がオオカミに一番近いとされる訳を探ってみると、犬の遺伝子は大きく4つのグループに分けることができるとか。(アメリカの大学での研究発表)それによると

1. ウルフライク(WOLFLIKE)古くから存在している遺伝子で、オオカミに限りなく近いのがこのDNA。柴犬はこの遺伝子を多く持ち合わせている。
2. ハーダー(HARDERS)群れをなす習性を持ち合わせた牧羊犬などの犬種が持つDNA。ボーダーコリーなど。
3. ハンター(HUNTERS)獲物をしとめる特性を持つ猟犬が多く持っているDNA。ビーグルなど。
4. マスティフライク(MASTIFFLIKE)戦闘的でなおかつ闘争心あふれる犬種が持っているDNA。ドーベルマンなど。

このDNAは犬種を問わず4つとも持ち合わせていますが、中でも柴犬はウルフライクの割合を一番多く有していることからオオカミにより近いことを裏付けています。

そんな柴犬は、リーダーとなる人間にはとにかく忠実でリーダーを守ろうとする責任感が強く、さらに勇敢で細心さを持ち合わせている。これらは、祖先であるオオカミが群れの争いごとを避け平和に過ごすための血が受け継がれている証のようにも思われる。

オオカミから平和を愛する愛犬への変化の過程は

私達人間にとってオオカミといえば獰猛でチョット怖いイメージを抱いている方もいるかもしれませんね。もともとオオカミは群れで狩りをしていましたが、人間が移動をしながら狩りをして生活をしていた時代に特定のオオカミが人間と一緒に移動することで、おこぼれにあり付ける事に気が付き、その後、人間が定住生活を始めるとオオカミは長い年月をかけ人間との距離を徐々に縮めるようになり、やがては飼いならされて家畜化され犬へと進化していったようです。

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オオカミが家畜化されていく中で、人間が生きていくためにオオカミを狩るのではなくオオカミと共存する道を選び、必要以上の獲物を捕らえた時などに分け与えることでお互いが仲間同士であると言う意識が高まっていった。

この過程は2万年~1万4千年前の期間のどこかで起きた現象だと考えられています。

さらに年月が流れ、新石器時代(7000年前)に農耕が始まるとそれまでの犬と人間の関係が大きく変わり、牧畜が始まると牧羊犬や番犬として活躍する。また、交配も行われることで役割に特化した多くの犬種が生まれるようになり、人々の心の支えとなり家族の一員として平和な生活を共に送るようになっていく。

平和を愛する愛犬達は人間の争いごとの仲裁も行う!

オオカミを祖先に持つ愛犬達は、もともと野生時代から群れで暮らしていくうえで犬自身の争いごとを避けるために備わった犬特有の本能がある。これをカーミングシグナルといいます。

このカーミングシグナルの力を発揮するときは、『興奮した相手を落ち着かせたい時』『あたりの雰囲気が悪くなった時』『無駄な争いを止めさせたい時』『争いたくない時』『犬自身がストレスを感じている時』など、張り詰めた嫌な空気感を和ませたときにボディーランゲージを用いて犬自身の気持を相手に伝えます。

愛犬達は、空気を鋭く読みとる能力にたけていて、愛犬がペットとして人間と生活を共にするようになった今でも、この能力は個体差はあるものの十分に発揮されています。

皆さんも一度や二度の経験はあると思いますが、家族どうしでの争いが始まった時の愛犬の表情を観察したことがありますか?『口論中にそんな暇はないよ』と言う方も一度は注目して観察してみてください。

平和好きな愛犬が人間の争いごとの時にとる行動は

平和を愛する愛犬にしてみると、もともと群れで暮らしていた犬が人間と共に生活をするようになった時点で、自分の仲間であり自分をリードしてくれる人間がボスでもある訳で(そうでない人もいるかも?)そのボスの喧嘩で争いが始まると不安になり、いてもたってもいられなくなる。これは犬同士の喧嘩でも同様で仲裁に入ろうとする。

仲裁行動は個体差もあって、大きく分けて2つのパターンがある。

パターン1 その子が勇敢な性格の場合

争いが始まると思わず大きな声が出てしまいますよね。普段は和やかで平和な雰囲気のもとで生活をしている愛犬にとって大きな声が飛び交うと『ただ事ではない』と、仲間意識の強い愛犬はその空気感を鋭くキャッチし『自らこの喧嘩を止めなければ』と行動を起こしますが、この時愛犬は強いストレスを感じています。

自らにもストレスがかかるので『喧嘩はもう止めてよ』と喧嘩をしている二人の間に割り込んで『もうちょっと離れた方が良くない』とか自分が気に入っているオモチャを持参して『遊ぼうよ』など、その場の空気を変えようと必死になるのです。

争いの最中に『あくび』をする愛犬もいます。争いを止めようと必死になっているようには見えませんが『あくび』をするのは少し『落ちついてよ』という愛犬の願いが込められています。

パターン2 その子が内気な性格の場合

人間と同様で愛犬にも様々な性格の子がいます。中でも臆病で引っ込み思案の子は聞きなれない音や争いごとの時の大きな声には不安になり怯えてしまうこともあります。我が家の愛犬コタローは臆病な性格なので争いごとの時にとる行動は飼い主の顔色を伺いながら、悲しそうな顔をし、その場を後にし他の部屋へ移動してしまいます。

口論が気になるも仲裁に入れず、戸惑いを見せる

そして、移動先の部屋の片隅からこちらの様子を伺い『早く終わってくれないかなぁ~』の表情。口論をしている方も当然コタローの様子の変化には気がつくので、コタローに申し訳ない思いで口論も徐々に治まっていきます。

争いごとをしている二人の間に割り込む勇気のないコタローの場合、自分がその場から立ち去ることでストレスを感じているとサインを出し伝えようとしているので、その行為に早く気づいてあげることがとても重要です。何度も無視を繰り返し口論を続けていると『何度試みても分かってもらえない』と諦めるようになり、徐々にシグナルを出さなくなってしまうのです。

その結果として、自己防衛本能が働き攻撃を仕掛けてくる可能性も少なくない。さらに、愛犬とのコミュニケーションも上手く取れなくなってくるのです。ですので、口論は出来るだけ避けて平和に過ごしましょう!

まとめ

オオカミが人間とともに生活をする犬へと変化をしていくのには、とてつもなく長い時間を要し、人間との様々な関わり合いの末にようやくたどりついた。平和な暮らしをもっとうとし争いを好まないオオカミの血は愛犬達にも受け継がれ、群で生活をしていたオオカミ、犬にしてみれば我々人間は群れの一員であり家族でもある。

争いごとを起こさない平和が第一の愛犬から人間たちも学ぶところが大いにあるように思われる。

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