15歳で腎臓病が疑われた日― 多飲・頻尿…5つの初期症状と血液検査結果【先住犬コタローの記録】

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「水を飲みすぎるのは、本当に老化でしょうか?」
最初は、そう思っていました。

15歳を迎えたコタローは、それまでにもてんかん発作や膵炎疑いなど、いくつかの体調変化を経験してきました。それでも、日常は穏やかに過ぎていたのです。

けれど、ある頃から“気になる変化”が増えていきました。

やたらと水を飲む。
トイレの回数が増える。
食欲が落ちる日がある。
口臭が強くなる。
被毛の艶がなくなる。

どれも単独では「老犬だから」で済ませてしまいそうな変化です。

しかし2020年11月30日の血液検査で、腎臓の評価指標であるSDMAが29μg/dL(基準値0〜14)と高値を示し、BUN33mg/dL、クレアチニン1.7mg/dLも基準値を超えていました。

このとき初めて、「もしかして腎臓?」という現実が目の前に現れました。

今回は、腎臓病が疑われたコタローに現れた5つの症状と、その後に私が行った対処について記録します。

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腎臓病が疑われたきっかけ

きっかけは、特別な出来事ではありませんでした。

むしろ“日常の違和感の積み重ね”です。

コタローは以前から水をよく飲む子でした。しかし15歳を過ぎた頃から、その量が明らかに増えました。給水器の水がすぐ減る。夜中にも起きて飲みに行く。散歩後だけでなく、何もしていないときも頻繁に水を口にする。

それに伴い、排尿回数も増加。
「歳だから仕方ない」と思いながらも、どこか引っかかる感覚がありました。

さらに、食欲が落ちる日が出てきました。完食する日もあれば、半分残す日もある。元気がないわけではないけれど、どこか反応が鈍い。被毛も以前よりパサつき、口臭も強くなっていきました。

そして血液検査。

SDMAは前回(2020年7月22日)も29μg/dLと高値でしたが、今回も同値。BUNとクレアチニンも基準値を上回っていました。

確定診断は出ませんでしたが、「腎機能の低下が疑われるため経過観察」と告げられました。

その瞬間、“老化”という曖昧な言葉が、“腎臓”という具体的な臓器の問題に変わったのです。

何となく元気のない日々が続いていた

腎臓病が疑われたときに見られた5つの初期症状

腎臓病の初期症状は、とても静かに進行します。
突然倒れるわけでも、強い痛みを訴えるわけでもありません。

だからこそ、見逃されやすい。

コタローの場合も同じでした。
振り返れば「サイン」は確かに出ていましたが、その一つ一つがあまりにも日常的で、年齢による変化と区別がつきにくかったのです。

特に15歳という年齢は、「老化」という言葉で多くの変化が説明できてしまう時期です。水をよく飲むのも、食欲に波があるのも、毛艶が落ちるのも、「高齢だから」と考えてしまう。

しかし腎臓は、機能が約75%失われるまで目立った症状が出にくい臓器とも言われています。つまり、症状が表面化した時点で、すでに一定の負担がかかっている可能性があるということです。

コタローに現れた症状は次の5つでした。

  1. 水を大量に飲む

  2. 排尿回数の増加

  3. 食欲低下

  4. 口臭の変化

  5. 被毛の艶の低下と元気の波

どれも単体では深刻に見えません。
しかし、複数が同時に起きていることが重要でした。

ここからは、それぞれの症状を当時の様子とともに詳しく振り返ります。

とにかく水をたくさん飲む

最も分かりやすい変化は「飲水量」でした。

以前から水をよく飲むタイプではありましたが、明らかに量が増えたのは15歳を過ぎてからです。朝に満たした給水器が、夕方には空に近い。夜中に起きて水を飲みに行く姿も増えました。

散歩後に喉が渇くのは当然です。しかし、特に運動していない日でも頻繁に水を求める様子は、それまでには見られなかった行動でした。

腎臓は、体内の老廃物を尿として排出する臓器です。機能が低下すると、体は老廃物を薄めようとして水分を多く必要とします。その結果、多飲が起きると言われています。

当時の私は、「脱水予防のために水を飲んでいるのは良いこと」と前向きに捉えていました。むしろ“ちゃんと飲めているから安心”とさえ思っていたのです。

しかし血液検査でSDMAが29μg/dLと高値を示していたことを思い返すと、この多飲は体からのサインだったのかもしれません。

水をたくさん飲むこと自体は悪いことではありません。けれど、以前との比較で明らかに増えているかどうかが重要です。

「水をよく飲む=元気」ではなく、
「急に飲水量が変わったかどうか」を観察する必要があると、このとき痛感しました。

おしっこをしょっちゅうしていた

飲水量が増えれば、当然排尿回数も増えます。

コタローも例外ではありませんでした。散歩中の排尿回数が増え、家のトイレに行く回数も明らかに多くなりました。量はそれほど多くないのに、回数だけが増えている印象でした。

夜中にトイレへ向かう足音が聞こえることもありました。

高齢犬では膀胱機能の低下やホルモン変化でも頻尿は起こります。そのため、この時点でも「老化の一つ」と考えてしまいがちです。

しかし腎機能が低下すると、尿を濃縮する力が弱くなります。その結果、薄い尿が大量に作られ、頻尿になることがあります。

血液検査ではBUN33mg/dL、クレアチニン1.7mg/dLと基準値をやや超えていました。前回よりBUNは下がっていましたが、それでも正常範囲ではありません。

この数値と日常の変化を結びつけて考えたとき、初めて「点」が「線」になりました。

頻尿は生活の中で目立ちやすい症状です。しかし“量・色・回数・タイミング”を記録している飼い主は意外と少ないのではないでしょうか。

今振り返れば、もっと早く変化を数値化しておけばよかったと思います。

食欲が落ちる日があった

コタローは若い頃から食欲に大きなムラはない子でした。多少の好き嫌いはあっても、基本的には出されたものをしっかり食べるタイプ。それが15歳頃から、完食する日と残す日が出てきました。

特に朝食を残すことが増え、「昨日は元気だったのに、今日は半分しか食べない」という日が出てきたのです。吐くわけではない。ぐったりしているわけでもない。ただ、食べ進める勢いがない。途中で顔を上げ、少し考えるような仕草を見せる。

当時は「老犬になると食が細くなる」と聞いていたこともあり、大きな異変だとは捉えていませんでした。しかし腎機能が低下すると、体内に老廃物が蓄積し、軽い吐き気や倦怠感が生じることがあります。いわゆる“なんとなく気持ち悪い”状態です。

それが、食欲の波として現れていた可能性があります。

血液検査ではBUNやクレアチニンが基準値を上回っていました。重度ではないにしても、腎臓に負担がかかっていたのは確かです。腎臓は「沈黙の臓器」とも言われますが、食欲の微妙な変化は数少ないサインの一つだったのかもしれません。

今振り返ると、「完食しているかどうか」ではなく、「食べるスピード」「食べ終わった後の様子」まで観察すべきだったと感じています。食欲は単なる“量”だけでなく、“質”も大切な指標です。

高齢犬で食欲に波が出始めたとき、それを単なる老化と片づけるのではなく、背景にある臓器の状態を一度確認する価値は十分にあると、コタローが教えてくれました。

食事後も動くことが少なくなっていた

口臭が強くなった

口臭の変化も、気づいてはいたものの後回しにしてしまった症状の一つです。

高齢犬になると歯周病が進みやすくなります。そのため、「年齢的に仕方ない」と思い込んでいました。しかし、ある時から口臭の質が少し変わったように感じました。単なる歯の匂いというより、どこか“内側”からくるような匂いです。

腎機能が低下すると、血中の老廃物(特に尿素)が増え、アンモニア臭のような匂いが口から感じられることがあります。いわゆる“尿毒症性口臭”です。もちろん、軽度の段階で必ずしも強い匂いが出るわけではありませんが、変化の一つとして現れることがあります。

コタローの場合、血液検査でBUNが33mg/dLとやや高値を示していました。前回よりは下がっていましたが、基準値内ではありませんでした。この数値と口臭の変化が無関係だったとは言い切れません。

歯石除去を検討したこともありましたが、高齢であること、てんかん発作歴があることを考えると、全身麻酔のリスクも無視できませんでした。そのため、「様子を見る」という選択をしました。

今思えば、口臭は“見た目に出ない異変”を教えてくれるサインだったのかもしれません。歯の問題だけでなく、内臓疾患の可能性も含めて考える視点が必要だったと感じています。

匂いは主観的で記録に残しにくい変化です。しかし、毎日一緒にいる飼い主だからこそ気づけるサインでもあります。

被毛の艶がなくなり、元気に波があった

コタローの被毛は、若い頃は柔らかく艶がありました。しかし15歳頃から、少しずつ手触りが変わっていきました。どこかこわばり、艶が失われていく感覚。ブラッシングをしても、以前のような滑らかさが戻らない。

同時に、元気にも“波”が出てきました。

散歩ではいつものように歩く日もあれば、途中で立ち止まる日もある。家の中では穏やかに過ごしているけれど、以前より反応がゆっくりになったように感じる瞬間がある。

腎臓は体内のバランスを保つ重要な臓器です。老廃物の排出、水分調整、電解質バランスの維持など、多くの役割を担っています。機能が低下すると、全身の代謝にも影響が及びます。

アルブミンは今回2.3g/dLと基準値を下回っていました。アルブミンは栄養状態や体内バランスの指標の一つでもあります。低値が続けば、被毛の質や体力にも影響が出る可能性があります。

もちろん、これらの変化がすべて腎臓だけの問題とは断定できません。高齢による自然な衰えも重なっていたでしょう。それでも、「なんとなく違う」という違和感は確かにありました。

元気がゼロになるわけではない。
しかし、100だったものが80や70に落ちる。

この“微妙な低下”こそが、初期の腎機能低下の怖さなのかもしれません。

大きな異変ではなく、小さな変化の積み重ね。
それをどう受け止めるかが、早期対応の分かれ道になると感じました。

血液検査数値から見えた腎機能の変化

2020年11月30日の血液検査結果は、私にとって「現実を突きつけられた数字」でした。

まず、腎臓を評価する指標として近年重視されているSDMAは29μg/dL。基準値は0〜14です。前回(2020年7月22日)も29μg/dLであり、改善は見られていませんでした。SDMAはクレアチニンよりも早期に腎機能低下を反映するとされる項目で、この時点で“何らかの腎機能低下が続いている可能性”が示唆されました。

BUNは33mg/dL(基準値9〜30)、クレアチニンは1.7mg/dL(基準値0.5〜1.4)と、いずれも軽度高値。前回よりBUNは下がっていたものの、正常範囲内ではありません。急激な悪化ではなく、緩やかな負担が続いている印象でした。

一方で、リンは3.5mg/dLと基準範囲内。カルシウムも正常でした。重度の腎不全に見られるような電解質の大きな乱れはありません。

気になったのはアルブミン2.3g/dL(基準2.6〜3.9)。軽度低値です。栄養状態や慢性炎症の影響も考えられますが、体全体のバランスが万全ではないことを示す数値でした。

さらにアミラーゼ1743U/Lと高値でしたが、これは膵臓との関連も考えられる項目です。コタローは過去に膵炎疑いも経験しており、腎臓単独ではなく“複数臓器に負担がかかっている高齢期”であることを改めて感じました。

アミラーゼが高値を示していたこともあり、膵臓への負担も無視できない状況でした。
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犬のアミラーゼ高値と膵炎疑い【先住犬コタローの記録】

ただし、この時点で確定診断は出ていません。医師からは「腎機能低下が疑われるため経過観察」と説明を受けました。

数値は劇的ではありません。しかし、日常の症状と組み合わせたときに意味を持つのだと、このとき初めて理解しました。

検査結果は単なる数字ではなく、体の中で起きている変化の“翻訳”なのだと実感した瞬間でした。

コタローはこの時期、腎臓だけでなく神経系の問題も抱えていました。高齢期には複数の臓器が同時に負担を受けることも少なくありません。
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当時行った対処法|食事の見直しと水分意識

確定診断は出なかったものの、「腎臓に負担がかかっている可能性がある」という前提で生活を見直すことにしました。

まず大きく変えたのは食事です。

当時すでに低脂肪のフードを中心にしていましたが、そこに手作りのトッピングを加えていました。キャベツを約5mm角に細かく刻み、電子レンジで加熱。そこへ茹でたササミをほぐし少量のキャベツを加え、ドッグフードに混ぜて与えていました。

キャベツは水分と食物繊維が豊富で、かさ増しにもなります。ササミは脂質が少なく、消化にも比較的やさしい食材です。ただし、腎臓病ではタンパク質量の調整も重要になるため、「良かれと思って増やしすぎないこと」を意識しました。

この時点では療法食には切り替えていません。数値が軽度であったこと、そして食欲を保つことを優先したためです。

また、水分摂取を制限することはせず、むしろ自由に飲める環境を整えました。水を飲みやすい位置に複数設置し、常に新鮮な状態を保つよう心がけました。

腎臓は一度大きく機能を失うと回復が難しい臓器です。だからこそ、「悪化させないこと」が重要だと感じました。

このときの対処は決して特別なものではありません。しかし、“気づいた時点で生活を整える”ことが、結果的にその後の安定につながったのではないかと今は思っています。

高齢犬の食事は「量」よりも「負担をかけない設計」が重要だと感じました。
高齢期の食事バランスについて詳しくまとめた記事はこちら

腎臓病を疑ったときに飼い主が確認すべきこと

腎臓病は、急激に悪化する場合もありますが、多くはゆっくり進行します。そのため、飼い主の観察力が非常に重要になります。

まず確認すべきなのは、飲水量の変化です。急に増えていないか。以前と比べて明らかに違わないか。

次に、排尿回数と尿の状態。回数だけでなく、色や量の変化も見ておくことが大切です。

さらに、食欲の波・口臭・体重変化・被毛の状態。これらは単独では決定打になりませんが、複数重なると重要なサインになります。

そして何より、定期的な血液検査です。SDMA、BUN、クレアチニンの推移を見ることで、早期の変化を捉えることができます。

「まだ元気だから大丈夫」
この言葉ほど危ういものはありません。

元気に見える時期こそ、内臓は静かに負担を抱えている可能性があります。

コタローのケースは経過観察で済みましたが、早期に数値と症状を結びつけられたことは、大きな意味があったと感じています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 水をたくさん飲むのは必ず腎臓病ですか?
A. 必ずしも腎臓病とは限りません。糖尿病やホルモン疾患、高齢による変化でも起こります。ただし以前と比べて明らかに増えた場合は血液検査をおすすめします。

 

Q2. SDMAが高いと確実に腎不全ですか?
A. SDMAは早期の腎機能低下を示す指標ですが、単独では確定診断にはなりません。クレアチニンやBUN、臨床症状と合わせて総合判断されます。

 

Q3. 腎臓病が疑われたらすぐ療法食にすべきですか?
A. 数値や進行度によります。軽度の場合は経過観察と生活改善から始まることもあります。必ず獣医師と相談してください。

 

Q4. 口臭も腎臓病のサインになりますか?
A. 歯周病が原因の場合も多いですが、腎機能低下によりアンモニア臭が強くなることもあります。変化を感じたら相談を。

 

Q5. 高齢犬はどのくらいの頻度で血液検査を受けるべき?
A. 一般的には半年に1回が目安ですが、持病がある場合は3〜4か月ごとの検査が勧められることもあります。

まとめ

15歳頃、コタローに現れた変化はどれも小さなものでした。水をよく飲む、トイレが増える、食欲に波がある。口臭や被毛の変化も、「年齢のせい」と思えば納得できてしまうものばかりです。

しかし血液検査でSDMAやクレアチニンの高値が続いていることを知り、それらの変化は“点”ではなく“線”になりました。

確定診断は出ませんでしたが、生活を見直し、食事や水分環境を整えたことは無駄ではなかったと思います。

腎臓病は静かに進む病気です。だからこそ、小さな違和感を見逃さないこと。それが、愛犬の時間を守る第一歩になるのだと、コタローから教えられました。

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