犬の咳といえども軽視できない数々の原因!その原因から対策を考える!

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半年ぐらい前から愛犬コタローが咳き込むようになった。その後中々止まらない。一度、咳が出始めると2~3分は続きます。体調が良い時は暫く治まっていることもある。昼間は比較的咳は出ないようだが、特に咳き込むようになるのが夜で、寝る前と夜中、朝方。一度、咳き込みだすと結構大きな咳を連発し中々止まらない事が多い。

なぜ、咳が出るようになったのか、中々止まらない原因と対策について考えてみます。

4年ぐらい前のこと(12歳)定期的に行っているわけではないが年齢のことを考え心電図、エコー、聴診などで調べた結果、わずかであるが愛犬コタローの心臓に雑音が確認された。

その後、暫く様子を見つつ気にすることもなく過ごしていましたが、2年ほど前に再度検査した結果は相変わらずで雑音は残ったままで、獣医師さんは加齢が原因とのことでしたので特に詳しく原因を追究することはしませんでした。そして、この時点では咳は全く出ていませんでした。
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咳が出る原因は?

愛犬の咳の原因にはいくつかあるようです。まず、大きく分けて生理現象と何かしらの病気が原因で起こることがあるようです。

生理現象で咳が出る場合

チリ、ホコリ、冷たい空気などが気道や気管などに入ってしまった時に防御反応(生理現象)として咳が出ます。また、下記の状態の時にも咳き込むことがあります。

◆散歩の時に嬉しさのあまり興奮をし息が荒くなったとき

◆散歩の時にリードを強く引っ張り首輪でのどの部分が刺激を受けたとき

◆水を一気に飲んだとき
もともと気道が狭い場合には、愛犬の水を飲む位置(下向き、上向き)により気道が圧迫されるため、むせて咳が出る。

上記のような場合には『カッカッ』や『カハッ』といった乾いた感じの咳が出る場合がありますが、何度も続いて咳き込まなければ問題はないようです。

愛犬コタローの場合生理現象で咳が出る場合は水を一気飲みした時ぐらいですぐに止まりますので病的な原因が考えられると思われます。何といっても心雑音が気になります。

病気が原因で咳が出る場合

半年前(昨年10月)頃から咳き込むようになったので動物病院で、みたび検査を行った結果、憎帽弁閉鎖不全症でした。やはり心雑音はその前触れのようで、もう少し早く原因を特定できる検査をしておけばと思いました。

ここで憎帽弁閉鎖不全症とはどのような病気なのか見ていきます。また、このほかのケースについても参考のために紹介させて頂きます。

❤ 心臓病

一口に心臓病と言ってもいくつかあるようですが、その中でも高齢の小型犬に比較的多く見られるのが憎帽弁閉鎖不全症です。

憎帽弁閉鎖不全症とは?

心臓は4つの部屋に分かれていて、右心房、右心室と左心房、左心室で心臓内の血液は一定方向に流れています。右心房と右心室を仕切っているのが三尖弁(さんせんべん)、左心房と左心室を仕切っているのが憎帽弁になります。この二つの他に肺動脈弁と大動脈弁の2つがあります。

それぞれの弁膜の役割は血液の逆流が起こらないようにすることです。血液の逆流が起こってくると心雑音が聞こえてくるようになります。

血液の逆流が少ないと症状は現れませんが、逆流量が多くなってくると元気喪失や寝ている時間が多くなりしますが、ともすると『高齢になってきたため』と思われがちで病気とは気づかず見過ごしてしまう事も多いようですので『歳』だからと決めつけるのは禁物です。

憎帽弁閉鎖不全症はハッキリとした原因は分かっていませんが、弁を構成している『弁尖』(べんせん)、『腱索』(けんさく)が年齢を重ねることで肥厚し歪んだり、伸びたりすることで弁がピタッと閉じなくなってくることで起こるようになります。

正常な血液の流れは下図のように、肺から戻ってきた血液が左心房から左心室へと流れ大動脈から全身へと送りだされますが、憎帽弁が上手く閉まらなくなることで左心室から左心房へ血液が逆流し左心房に血液が残ってしまうことで、そのぶん心臓は多くの血液を送り出すことが必要となり心臓への負担が大きくなります。

弁尖とは…心室の入り口側と出口側に一方方向に開く弁が1枚ずつあり、それぞれの弁は複数の薄い組織から成り立っている
腱索とは…心室内にある小さな筋肉の柱に付着しています。付着している筋肉は乳頭筋または肉柱と言われていて、この乳頭筋が収縮し弁を閉じるときに弁の先端が合わさるように腱索を引っ張ることで調整し血液の逆流を防いでいます。

進行するにつれ咳の他に、運動をしなくなったり、歩行中の失神、呼吸困難、チアノーゼなどの症状がみられ重症化すると肺に水が溜まる肺水腫に陥るようになります。

コタローも歩行中に失神で倒れたことが2度ほどありますが、すぐに起き上がって歩きだしたので大事には至りませんでした。

どんな時にどんな咳が出るの?

症状の多くは咳の増加で、夜中や朝方にむせるような『ゲフゲフ』、『ウフェウフェ』といったような咳が出る。また、『カフカフ』といった喉に物が詰まった感じの咳をすることもある。これは、心臓が拡大するため気管や気管支が圧迫されて起こることが原因と考えられています。

この動画は夜中の2時ごろのものです。やはり就寝直後や夜中から明け方にかけて咳き込むことが多い。

対策は?

一般的には薬物を用いた内科的治療が行われます。これは、心臓の負担を出来る限り軽減することで生活の質を改善することをが目的で基本的に完治が難しい病気と言われています。

食生活は塩分の多いものは心臓の負担を考え控えることや肥満にも十分注意しましょう。何といっても早期発見が一番です。ですので定期的な健康診断(聴診など)を積極的に受けるようにしましょう。

また、日常の咳の状態や舌の色なども注意を払いチェックを行っていきましょう。

この動画はつらそうに咳き込むコタローを見ていて、何とかしてあげたいと思い首から背中にかけて軽くトントンと叩き、次にさすってあげると少し落ち着いてきました。これを何度どなく繰り返していくと咳は治まってくるようになりました。

しかし、これで咳が完全に出なくなるわけではありません。一時的にコタローの身体にかかる負担を取り除いてあげるだけで、少しでも身体が楽になればと思い行っています。ただし、この行為が全ての犬種に有効かどうかは分かりませんがコタローには効果がありました。

咳がおさまり少し落ち着いた様子を見せる

心臓病には上記の他に、心臓の腫瘍、フィラリア感染、肥大型心筋症などがあります。

❤ 異物誤飲

愛犬コタローは、とにかく柔らかいものから硬いものまで何でも口にしますので要注意です。柔らかいものではトイレットペーパーやティシュを食べた時は咳き込んだり、えづいたりしたことがありました。物が物だけに大事には至りませんでした。

今までで一番『ヒャッ』としたのはプッシュピンを口にしたときです。この時はコタローの好物と交換することで事なきを得ました。交換するときの注意点としてプッシュピンが口の中にある間は絶対に愛犬の好物をあげないこと!ここであげてしまうと好物と一緒に飲み込んでしまう可能性があるからです。焦らずに、必ずプッシュピンが口から出たのを確認してからあげることが大切になります。

対策は?

第一に誤飲されやすい物を部屋に置かないよう綺麗にしておくことが大事です。誤飲してしまうと危険なものとしては、プラスチック片、ゴム類、ビニール、ボタン(糸付は特に危険)布、タバコ、ボタン電池、乾燥材、チョコレート等。

万が一飲み込んでしまった場合に無理に吐かせようと身体をむやみに動かと、より危険な状態になる可能性がありますので、落ち着いて動物病院に状況をお話のうえご相談されることをお勧めいたします。

❤ 気管虚脱

気管虚脱ってどんな病気?

空気のと通り道である気管が細くなり潰れてしまう病気。ハッキリとした原因は分かっていないようです。考えられるのは老化であったり肥満、遺伝などが関係しているようです。

この気管虚脱は小型犬に多く発症するようです。重症化すると呼吸困難を引き起こすこともあるようです。また、舌の色が白っぽくなったり、青紫色になるチアノーゼに陥ることもあるようです。

咳の特徴としては『ケッケッ』(初期の段階)や病状が進んで来るにつれて『ガーガー』といった咳に変わってくるようです。

どんな時にどんな咳が出るの?

興奮したときや散歩中にリードをグイグイと引っ張って首輪で気管が圧迫されたときなどです。

愛犬コタローも小型犬で老犬、さらに散歩に行くときには嬉しさのあまり、ものすごく興奮をしリードを引っ張ってしまい『ケッケッ』と咳き込むことがあります。ひょっとすると気管が細くなっている可能性があるかも知れません。

対策は?

肥満防止と適度な運動。愛犬も太ってくるとそれだけで身体に負担がかかってきます。首も例外ではなく喉を圧迫し気管に悪影響を与えることもあります。また、散歩時には気管を圧迫しないようにハーネスを使用した方が良いかもしれません。愛犬コタローは元々ハーネスでしたが最近より首に負担のかからないハーネスに変えました。

さらに、激しい運動は出来るだけ避け、夏場の暑い時間帯の散歩は避けて涼しい時間にゆっくり休みながらが良いと言われています。

❤ ケンネルコフ

ケンネルコフってどんな病気?

各種ウィルス感染が原因で起こる呼吸器疾患のこと(犬伝染性器官・気管支炎)をケンネルコフと言います。ウィルスには、犬パラインフルエンザウイルス、犬アデノウイルスⅡ型、ボルデテラ菌、犬呼吸器コロナウイルスなどがあります。

一見、風邪の症状に似た感じで食欲も普通にあり元気に過ごすこともありますが、重症化すると発熱や食欲の低下などの症状がみられます。また、くしゃみや鼻水などで飛沫感染してしまう事もあります。特に免疫力の低い仔犬や高齢犬は咳き込むだけではなく発熱や肺炎を引き起こし重篤な症状(呼吸困難)に陥ることもあるので注意が必要です。

どんな時にどんな咳が出るの?

気管虚脱同様に興奮したとき、また運動中に突発的にガッガッと高音の咳が出ることがあるようです。さらに、えづくような様子を見せることもあるようです。

軽症の場合は乾いた咳(カハッカハッ)、(ケフッケフッ)ですむ場合もありますが、重症化すると湿った咳(ゼーゼー)、(ゲホッゲホッ)へと変化してきます。

対策は?

ワクチンで予防することが出来るので必ず摂取するようにしましょう。摂取後間もない場合は犬が多く集まる所へ出かけるのは出来るだけ避け、特に咳をしている犬との接触は禁物。

ウィルスの種類によって治療方法は異なります。重症化する前に混合ワクチンによる予防が大切になります。

❤ 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)

誤嚥性肺炎ってどんな病気?

食べたものや唾液、嘔吐物が器官に入ってしまうことが原因で起こります。誤嚥したとしても必ず誤嚥性肺炎にはなりません。それは気管粘膜に存在する線毛運動や粘膜の刺激によって起こる咳反射などによって異物を排除しようと免疫機能が働くことで肺炎を抑えようとします。

誤嚥性肺炎はどのようなときに起こり易いのか

強制給餌(きょうせいきゅうじ)『フード、水、薬などを強制的に与える』、大量の流涎(りゅうぜん)『よだれを流す』、重度の歯石による口腔内環境の悪化、嘔吐などが要因としてあげられます。

どんな咳が出るの?

咳き込むことが多くなり、ゼーゼーといった呼吸音の異常があります。また、聴診でもゴホゴホといった呼吸音の異常が確認されることもあります。

対策は?

誤嚥性肺炎は基礎疾患を有する老犬が発症すると悪化することが多くなるので、愛犬の様子を細かく観察することが欠かせません。少しでも普段と様子が違うなと感じたら動物病院で診てもらうことをお勧めします。

また、食事の時の姿勢にも気配りを。食器は台に乗せ頭の位置が高くなるようにしてあげましょう。さらに、早食い防止策も必要です。一回の食事量は少量で回数を増やしてあげるようにしましょう。食べさせ過ぎには注意を。

まとめ

愛犬が咳き込んでいる様子を見るのはとても辛いものです。咳の原因には様々ありますが、コタローのように小型犬で老犬になってくると比較的多い心臓病の一つが憎帽弁閉鎖不全症のようです。他の病気もそうですが咳が原因の病気も早期発見が大切になってきます。

日頃からできる限り愛犬の様子を細かく観察し、少しでもおかしいと感じた時は動物病院に相談されるこをお勧めします。

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