犬は嗅ぎ取る臭いの種類によって異なりますが人間の数千~1億倍の臭覚があり、尚且つ、その犬には利き鼻があります。しかも右と左を必要の応じて使い分けているのにはびっくりです。また、犬には匂いを嗅ぐことで安全を確認する習性があります。今回は、そんな犬の利き鼻についてのお話です。
犬の利き鼻とは
犬の利き鼻とは「利き手」、「利き耳」、「利き脳」があることが確認されていまが、それらと同様で2020年にノルウェーのグループが研究し発表した論文によれば、右の鼻腔は嫌いな物の匂いを嗅ぐときに、左の鼻腔は嫌いではない好みの匂いを嗅ぐときに使っていることが分かりました。
また、利き鼻についてイタリアの研究チームによれば、警戒をしているときには、まず右側で匂いの安全確認をした後に左側に移行するそうです。
こうしてみると犬は、安全かどうかを確かめるために右の鼻を使い、安全が確認でき嫌いな匂いでなければ左の鼻で匂いを嗅いでいるようです。
また、左右の鼻腔から入った匂いの情報は、左からの情報は左脳で右からの情報は右脳で処理され、受容気管と脳とで左右が逆転する目や耳からの情報とは異なる特徴があります。
利き鼻を使い分ける能力はどこにある?
散歩の時など、我が家の愛犬コタロー、コタ2が他の犬たちの匂いを嗅ぐときや、ほかの人達の匂いを嗅ぐときに、どちらの鼻を使っているのかは微妙なので見分けはつきません。しかし、そのどちらの場合も前述のように、最初は右で安全確認をした後に左側でクンクンしているんですね。
犬同士の場合、相性が合いそうであれば相手を遊びにさそう行動をとったりしますが、そうでなければ自然とその場を後にします。これらの情報は鼻腔の奥にある嗅上皮の嗅細胞によって感知されます。そして、その面積が広ければ嗅細胞の数も多くなるのでより多くの匂いを嗅ぎ分けることができるようになります。
人間の嗅上皮の面積は3~4㎝なのに対して、犬は嗅上皮のヒダが多く18~150㎝にもなります。また、犬には臭いの情報処理を行うための嗅球と呼ばれる脳の部位が発達していることもあり、犬は鼻で考える動物と言われています。
人間は鼻よりも眼からの情報を優先しますが、犬の場合は目よりも鼻からの情報が圧倒的に多く鼻からの情報が優先されます。左右の鼻を使い分ける利き鼻の能力は嗅上皮の面積の大きさに関係があるのかもしれませんがハッキリとしたことは分かっていません。
また、犬の嗅覚が鋭くなった理由は、生きて行くうえで必要な獲物を遠くからでも見つけられるようになったことと、外敵から身を守るために遠方からでも察知できるように発達してきたといわれています。
鼻が利く犬とあまり利かない犬の差は?
犬の鼻の長さは頭蓋骨の長さ(スカル)の幅に対して鼻の長さ(マズル)が短いか長いかによって分類されます。頭蓋骨の長さに対して鼻の長さが短い犬種が短頭種。頭蓋骨の長さと鼻の長さがほぼ同じ犬種が中頭種。頭蓋骨の長さよりも鼻の方が長い犬種が長頭種になります。
短頭種には、フレンチブルドック、ブルドック、シーズー、ボストンテリア、パグ、チワワ、ペキニーズ、、キャバリアなどがあげられます。
中頭種には、ラブラドール・レトリバー、柴犬、 秋田犬、コーギー、マルチーズ、ポメラニアン、トイプードルなどがあげられます。我が家の愛犬コタ2は、地面に鼻を擦り付けながらあらゆる匂いを嗅ぎ、利き鼻を常に使い分けて散歩をしているように見受けられます。
長頭種には、ボルゾイ、ミニチュア・ダックスフンド、ウィペット、シェパード、タリアン・グレーハウンドなどがあげられます。
犬が匂いを嗅ぐときは鼻を擦りつけながら地面に残された匂を嗅ぐパターンと、顔を高く上げ空気中に漂う匂いを嗅ぐ2つのパターンがあり、短、中、長頭種ともこのパターンは同じですが、臭覚についてはマズルの長い方が優れています。利き鼻については、鼻の長さは関係がないようです。
犬の利き鼻の話から少しそれますが、愛犬がクシャミをすることがあります。風邪でもひいたのかなとちょっと心配になりますが、調べてみると犬には鼻毛がありません。人間は鼻毛で空気中のホコリや塵などの侵入を防いでいますが、鼻毛のない犬はホコリや塵をクシャミをすることで体内への侵入を防いでいます。
まとめ
犬には「利き手」、「利き耳」、「利き脳」がありそれと同様に「利き鼻」があり右と左で役割が違います。ですので、お家の中や散歩中など、あらゆる場面で左右の鼻を使い分けているんですね。機会があれば一度、愛犬の利き鼻をチェックしてみてはいかがでしょうか。
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